別れ

 

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【不協和音】からの続きです。

 

その頃はちょうどクリスマス前でした。

世間はとても浮足立っていて、外の世界はイルミネーションで埋め尽くされていました。

しかも、その年のクリスマスは23日(祝),24日(土),25日(日)と、

カップルにとってはこれほどまでにない喜ばしい曜日並びでした。

 

わたしたちはというと、雄大は試験に落ちまくり、もう後がないという状況でした。

多分、人生でいちばん、今後の進路について悩んでいたかもしれません。

雄大は結局、付き合った当初の2年目に受けた試験も受からず

3年目の就職浪人中でした。

そして、それすらも全落ち。

そりゃわたしのイライラも溜まりますよね?笑

彼は彼で、彼女どころじゃありませんよね。

だって就職浪人3年目でまた落ちて進路が全く見えない。

自分の未来が全然見えないのに、わたしたちの未来なんて見えるわけもなく。

ましてや結婚なんてありえない。

だけど、わたしは一生懸命働いていたし、もう結婚したかった・・・。

 

確実に『環境』という障害がわたしたちの心をどんどん、

どんどんと離していってしまったのです。

 

そんな状況のわたしたちなので、カップルではあるものの

世間のキラキラとした笑い声とは真逆なほど、作り笑いしかできなかったし、

夢のクリスマス3連休の予定も真っ白でした。

 

そして、クリスマスまで1週間前のある日。

会った瞬間からとてもとても雰囲気の重たい日でした。

 

例のごとく会える時間はとても短かったのですが

それなりに夜デートを楽しみ、最後はわたしが運転してきた車で会話をしていました。

その時の空気感がもう耐えられないものだったのです。

「別れるんだろうな・・・わたしたち・・・」そう思わずにはいられない空気。

言葉を発せずとも伝わる、この2人の微妙な想いたち。

 

思い切ってわたしから切り出しました。

この一瞬でわたしは覚悟をしなくちゃいけませんでした。

この話をすれば、、、もうお別れだと・・・。

 

「なんか、、雰囲気悪いよな・・・どう・・思ってるん?」

『・・・・ごめん』

そこからの詳しい会話は悲しすぎて覚えていません・・・。

 

覚えているところだけをかいつまんでみると。

 

俺はこんな状況で、、まだ就職できてなくて、しかも全部落ちて。

自分のことでいっぱいいっぱいで。

玲菜のことを考えてあげられる余裕がない・・・・。

もう別れるしかないんじゃないかって思う。

 

そんな感じでした。

そう思っていることはわかってた。

こうなることも全部わかってた。

だましだましでこの数週間やってきたけれど。

別れ話は明日でもおかしくないって思ってたけど。

 

でも、実際にそうなると、、もう涙が止まらなかった。。

 

「玲菜がいま仕事いちばん忙しい時期なんわかってるからさ・・・

正月明けたらマシになるって言ってたから、

ホンマはそれ以降に言おうと思っててん。

今は仕事でしんどいところに、さらにこんなん言ったらしんどいと思ったから。」

 

最後に、ちょっとした優しさをくれたのでした。

 

翔太の時と比べればいくらかはマシだったかとは思う。

けれども、とてもとてもとても悲しかった。

耐えられたけれど、耐えられないほどだった。

 

帰りの車は涙で前が見えないほどの中で運転して帰りました。

無事に帰れるか、雄大もとても心配しているようでした。

家着いたら連絡して、って毎回言ってくれていたけれど

この日は今まででいちばん強く言ってたと思う。

雄大は自分の不甲斐なさを実感しているのがわかっていました。

ただただ自分のせいでこんな結末を導いてしまった。

そう思っているのがわかっていたから。

さっさと帰って、安心させてあげようと思って、

力強く、アクセルを踏み込みました。

 

【不完全燃焼】へ続く

 

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